知っておくと役立つ知識

マンション査定の自動シミュレーションは信用できるか?騙されないための注意点

マンション査定の自動シミュレーションは信用できるか?騙されないための注意点

不動産情報サイトなどを閲覧していると「査定シミュレーション」「自動シミュレーション」といったサービスが提供されています。これらの機能の役割は「売却を検討している物件の査定額を算出する」ことです。ひと昔前だとマンションの査定額を算出するには、不動産会社へ電話をして担当者に訪問してもらうのが一般的でした。

しかしインターネットの発達により、現在ではネット上から該当物件の査定額を算出することが可能になっています。便利な機能ではありますが、気になるのはその信ぴょう性です。今回はマンション査定の自動シミュレーションの信用度や査定額を算出する上での注意点などを解説します。

自動シミュレーションでは何を基にして査定価格を算出しているのか?

査定額を簡単に算出することができる自動シミュレーション。非常に便利な機能となりますが、この自動シミュレーションは何を基にして査定額を算出しているのでしょうか?

各不動産情報サイトにより細かな違いがありますが、自動シミュレーションでは一般的に以下の情報の入力を求められます。

所在地(都道府県・市町村)・最寄駅

まずマンションの所在地や最寄駅情報の入力が求められる理由ですが、これは土地の価格が関係しています。不動産情報サイトの物件情報を閲覧するとわかりますが、同じ規模、同じ築年数の物件なのに都道府県や市区町村によって価格に大きな開きがあります。

一般的に人口が多く、人気エリアと呼ばれる都市部では物件価格も高い傾向にあります。逆に地方の人の出入りが少ない地域ではお手頃な価格で物件が売りに出されていることも多々あります。

土地の価格のことを「地価」といいますが、地価を形成しているのは公示地価や基準地価などです。毎年3月下旬ごろに国土交通省が公表しているのが公示地価であり、7月1日に各都道府県が「都道府県基準地標準価格」として地価を判定したものが基準地価となります。

経済学的に見ると地価はその土地の収益性などによって決定されることが多いです。そのため、人通りが多く需要が高いお店などが立ち並ぶ都市部ほど土地や物件の価格も高くなりやすいのです。

そして自動シミュレーションはこの地価データや過去の売出事例に基づいて査定額を算出しています。国や各都道府県が公表するデータや対象エリアでの過去の取引事例を参考にしているため、ある程度の正確な査定額算出は可能となります。

専有面積・築年数

マンションの価格と専有面積、築年数は比例関係にあります。物件というのは一般的に面積が広いほど価格も上昇する傾向にあります。具体的には40㎡であれば2,500万円、50㎡だと3,500万円といったような形ですね。

これはマンションを購入する時に多くの方が気付いていると思います。そして専有面積によって価格が変わるのは売却時も同様です。前述の政府や各都道府県が公表している土地の価格は1㎡あたりの金額です。

したがって専有面積が広い物件ほど価格も上昇していくことになります。また築年数も売却価格に大きく影響してくる要素です。公益財団法人 東日本不動産流通機構では築年数別に分けた中古マンションの成約状況データを公表しています。

価格 面積 ㎡単価
築0年~5年 4,739万円 65.85㎡ 71.96万円
築6年~10年 4,160万円 69.64㎡ 59.74万円
築11年~15年 3,686万円 70.50㎡ 52.27万円
築16年~20年 2,768万円 66.34㎡ 41.72万円
築21年~25年 1,729万円 59.20㎡ 29.22万円
築26年~30年 1,758万円 57.48㎡ 30.58万円
築31年~ 1,572万円 56.53㎡ 27.80万円

【参考サイト】公益財団法人 東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2015年)」

ご覧のように築浅と呼ばれる5年以内の中古マンションでは1㎡あたりの平均単価が70万円を超えています。それに対して築10年を過ぎた物件は㎡単価が約50万円に下落しており、築20年を経過すると30万円前後にまで下がります。

このことからもわかるように築年数も専有面積同様、マンションの売却価格を左右する要素となります。自動シミュレーションではこのような築年数、専有面積などのデータも活用しながら、査定額を算出しています。

自動シミュレーションだけでは正確な査定額を算出するのは難しい

マンション査定の自動シミュレーションは過去のデータなどを駆使して査定額を算出しています。実際のデータに基づいて相場を回答しているため、わざわざ不動産業者に査定を依頼する必要はなさそうにも思えます。

しかし、残念ながら正確な査定額を算出するには自動シミュレーションだけでは難しいです。なぜならマンションの売却価格というのはデータでは見えない部分にも左右されるためです。

詳細は後述しますがマンションというのは所在地や築年数だけで価格が決まるものではありません。データには含まれていない、人の目で確認しないとわからない細かい査定箇所というのは意外と多くあります。

自動シミュレーションではデータには含まれていない箇所の査定はできませんから、この段階で正確な査定額を算出するのは難しいということになります。もちろん自動シミュレーションが適当な回答をしているわけではありません。

実際のデータを活用しているため、大まかな査定額を算出することは可能です。しかし細かな箇所の査定までは不可能なため、ここから先は不動産業者に査定依頼をする必要があります。

不動産業者による査定が自動シミュレーションより優れている点を解説

不動産業者による査定が自動シミュレーションより優れている点を解説

不動産業者の人の目による査定は自動シミュレーションより正確な査定額を算出することができます。では具体的に不動産業者の査定が自動シミレーションより優れている点はどこにあるのでしょうか?

居住用のマンションの査定額を算出するには一般的に「取引事例比較法」という方法を用います。取引事例比較法の特徴は売り出すマンションと同じマンションの違う部屋の成約価格や周辺の似たような物件の成約価格を参考にする点です。

簡単に説明すると同じエリアにある物件の過去データを参考にしながら、査定額を算出するということですね。しかし過去のデータを参考にするだけなら、前述の自動シミュレーションでも可能です。取引事例比較法はこの過去の成約価格を参考にした上で以下の要素に補正を加えながら最終的な適性価格を算出します。

  • 事情補正
  • 時点修正
  • 地域要因比較
  • 個別的要因比較

1点ずつ解説していきましょう。

事情補正

事情補正とは比較する物件に特殊な要素が絡んでいた場合に価格に補正を加えることです。具体的には損を覚悟で売りに出された投げ売り物件や訳あり物件などが該当しますね。このような特殊な要素が絡んでいる物件を比較対象にしても適性価格を導き出すことはできません。したがって必要に応じて事情補正を施す必要があります。

時点修正

時点修正とは時期の違いを考慮して査定額を修正することです。マンションに限らず不動産の価格というのは一定ではなく、常に変動し続けています。したがって比較する物件が同じでも時期が異なることで相場や市場の動きも変化し、価格も上下します。

特に比較する物件の成約価格が何年も前のものであれば、時点修正は必須事項となります。現在のほうがマンション価格が上昇しているなら査定価格のプラスにつながり、逆の傾向であれば査定価格は下がるのが一般的です。

地域要因比較

所有するマンションの近隣に似たような物件がない場合は、若干離れたエリアの物件を比較対象にすることもあります。この場合、地域によって土地や物件の価格は異なるため、補正をしてあげる必要がありますね。また住宅地域の地域要因はこれだけではありません。

  • 日照、気温、湿度、風向きなどの気象条件
  • 都市部までの距離や交通状況
  • 商業施設までの距離や配置の状況
  • 騒音、大気汚染、土壌汚染などの公害発生の程度や頻度
  • 眺望や景観などの自然環境要素

ご覧のようにこれらの項目も査定額に影響してきます。基本的に同じマンションでない限りはこれらの要素は異なるため、補正を加える必要があります。

個別的要因比較

個別的要因は主に物件の面積や接している道路との位置関係などのことを指します。たとえばですが一方でのみ道路に面している物件(中間画地)と二つの道路で角ができている物件(角地)があったとします。

一般的に角地の物件というのは陽当たりや風通しが良くなっていることが多いため、好条件の物件として扱われることが多いです。そのため中間画地の物件と比較すると価格も高くなる傾向にあります。

したがって比較する事例と所有するマンションにこのような違いがある場合は補正をするのが一般的です。前述のように個々のマンションには同じものは二つとありません。そのため正確な査定額を算出するにはこれらの個別的要因も考慮しながら適宜補正を加える必要があります。

マンションの正確な査定額を算出するための手順を解説

マンションの正確な査定額を算出するための手順を解説

自動シミュレーションより不動産業者による査定のほうが優れている点をご紹介しました。これらのポイントを踏まえた上でマンションの査定額を正確に算出するための手順をまとめましたので解説します。

手順①~自動シミュレーションで査定額目安を算出~

まずは一括査定サイトに備わっている自動シミュレーション機能を使用して売りに出すマンションの査定額目安を把握しておきましょう。前述のように自動シミュレーション機能は地価データなどを活用して査定額を算出するため、そこそこの目安額はわかるようになっています。

手順②~複数の不動産業者に査定依頼をする~

自動シミュレーションで大体の査定額を算出したら、次は複数の不動産業者に査定依頼を出します。ポイントは「複数」という点です。「なぜ1社ではなく複数の業者に査定を依頼するのか?」という疑問についてですが、これはより正確な相場を知るためです。

一般的に不動産業者の査定は先ほども取り上げた取引事例比較法を用いて行います。したがって通常であれば査定額に大きな違いが出ることはありません。しかし一口に不動産業者といっても「マンション売却が得意」「戸建て住宅の売却にノウハウを持っている」などそれぞれの特色があります。

特にマンションの売却が苦手な業者に査定依頼をしても正確な査定額が出せない可能性もあります。そうすると売却価格にも悪影響を及ぼすことになります。そのような弊害を防ぐためにも査定額算出は複数の業者に依頼するのがベストです。また売主の興味を引くためにわざと高い査定額を出す業者もいます。具体的には以下のような例ですね。

  • A社・・・【査定額2,000万円】
  • B社・・・【査定額2,030万円】
  • C社・・・【査定額2,050万円】
  • D社・・・【査定額2,500万円】

ご覧のようにA社~C社までは多少の違いはあるものの、ほぼ同じ査定額を出しています。ところがD社だけ明らかに査定額が高いです。これを見ると売主としては「D社に任せれば高く売れる」と思い込んでしまう可能性もあります。

しかし査定額というのは実際に売れる価格のことではありません。あくまでも「売れる可能性がある価格」を提示しているだけです。したがって複数の業者に査定依頼をした際に明らかに平均より低いもしくは高い価格を提示してきた不動産会社には若干の注意が必要です。

もちろん平均査定額と比べて開きがあるからというだけで悪徳業者とはいえません。しかし査定額で売主の気を引く業者も一定数いますから、このような時は一度冷静になって対処することが大切です。

もし気になるようであれば「なぜこの査定額になったんですか?」と根拠を説明してもらうのもよいでしょう。大切なのは査定額ではなく最終的に売れた価格ですから、この点を十分に意識して査定依頼を出すことがポイントです。

マンション査定の自動シミュレーションの信頼性は「そこそこ」と思っておこう

インターネットの発達により現在はWEB上からも査定額を算出することが可能になりました。これは仕事などで日常の生活が忙しい方などにはおすすめの機能でもあります。しかし自動シミュレーションの機能は査定額を左右する細かな要素まで見ることはできません。

したがって正確な査定額を算出するのは難しいという一面もあります。そのためより正確な査定額を導き出すには【自動シミュレーション→複数業者に査定依頼】という方法を取るようにしましょう。

こうすることで100%ではないにしても、高い確率で正しい査定額を知ることが可能です。

しかしながら、まずは自動シミュレーションで、ご自身のマンションのおおよその価格相場を知らないことには何も始まりません。

マンションの売却は人生でそう何度もあるわけではありません。失敗しないマンション売却を実現するためにも正しい手順で査定額を算出していきましょう。